米国オレゴン健康科学大学家庭医療学教授のJohn.W.Saultzは、その著書「TEXTBOOK of FAMILY MEDICINE」の中でこう述べています。
Family Practice(家庭医療)とは、アメリカで20番目に認められた専門分野ですが、
Family Medicine(家庭医療学)については現在4つの考え方があるといいます
① 学問分野としてのFamily medicineは存在しないという考え方
② Family Medicine=Family Practiceという考え方(Saultzは反対)
③ Family systemの中での健康や病気について研究するのがFamily Medicineとする狭い見方
④ Family Physician(Family Practiceに従事する医師=家庭医)のありかた(実際の活動内容など)を研究するのがFamily Medicineであるという考え方
Family PracticeでありFamily Medicineでない理由
① 元はFamily PracticeはGeneral Practiceから発展してきたルーツを強調するため
② (アメリカの)communityやcareを対象にpracticeするphysicianを育てる目的を強調するため(アメリカの専門医たちはpracticeと学問を混同してきた歴史があり、例えば内科:Internal Medicineにはpractice specialtyとacademic disciplineの両方の意味があるが、Family Practiceはあくまでも「Practice」を強調したらしい。)
そもそもSaultzは著書名を「Family Medicine」にしている訳ですが、彼はFamily MedicineをFamily Practiceの知的な土台(根拠)となる知識・技能・態度について言及するときに使う言葉として用いています。
ほとんど言葉遊びになってしまっていますが、①当院ではSaultzのテキストでずっと家庭医療を勉強してきたので、思わず彼に傾倒してしまったこと。②我々のcommunityやcareを対象にpracticeする physicianやstaffを育成したい、という考えからあくまでも「Medicine」よりも「Practice(実践)」を重視したいのでこちらを選んだわけです。
もちろん家庭医療の学問的追究は必要であり、そちらも重視していきたいのですが、まずは実践重視型のセンターを目指していきたいと考えています。
千葉民医連は設立以来、主に千葉県北西部において地域医療を担ってきました。その医療内容は前述のように、かなり「家庭医療」に近い内容であったことは事実です。しかし、欧米など諸外国で行われている「家庭医療」と比較すると、たとえば「患者中心の医療技法」「家族志向のケア」「医学教育」などの点については、似てはいるもののまだ不十分であったり、現場で培われてきた経験がまだ言語化されていなかったり、整理されていない部分があります。私たちは、千葉民医連で今まで行われてきた地域医療を尊重し、そこに「家庭医療」の優れた点を取り入れていきながら、より一層よい医療を追求したい、そういう立場を大切にするため、あえて「家庭医療センター」と名乗ることにします。また、将来的には、もちろん同じく千葉県で地域医療に奮闘されてきている病院や開業医の先生方とも連携を考えていきたいと思っています。