初期研修医2年目の石澤医師による「心に残った患者さん報告会」が千葉健生病院で行われました。
今回石澤医師が紹介した患者さんは60代男性のAさんでした。Aさんは近隣の病院へ右肩の痛みで救急搬送されましたががんと分かり、その後千葉健生病院へ転院となり石澤医師が担当医となりました。
右肩が痛いと思っていたところにがんという大きな病気が判明し、Aさん自身も混乱し病気の受容が出来ていないご様子だったそうです。
Aさんはリハビリテーションを希望されていたものの、病状から難しいと分かり『リハビリできないのなら眺めのいい病室で最期を迎えたい』との希望が話されました。
希望に合う病院を検討し紹介状を作成、転院手続きを開始しましたが病状が悪化。食欲低下や意識状態の悪化があり、腰痛・呼吸困難も強くなっていきました。そうした中で「先生といると心が安らぐから、しばらくいてくれないかな」と話され、Aさんの趣味である株式や温泉などいろいろなお話をされたそうです。
病状が悪化し酸素濃度も下がってきていた28病日の日、来院されたご家族に思い出の動画をAさんの耳元で再生していただいたり、Aさんが好きだというコーヒー店のコーヒーを病室で挽いてもらい香りだけでも味わっていただきました。その時一瞬だけ患者さんの心拍数が持ち直したように感じたと石澤医師は話しました。その後、Aさんはご家族に見守られながら亡くなられました。
石澤医師は報告の中で、具合が悪くなっていき治ることが絶望的なAさんへどのように声をかければよいのか悩んだことや、どのようにすればがん性疼痛に苦しむAさんの苦痛を軽減できるか常に思い悩んでいたと話していました。