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本日の研修医「(内科導入期② 初期研修医の心に残った患者さん発表会」

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病状の変化とともに複数の家族の思いを受け止める難しさを実感。

毎回ブログでお伝えしている「初期研修医のこころに残った患者さん発表会」。今回は、1年目研修医5名全員が4月下旬から9月初旬までローテーションしていた導入期の内科研修です。


多くの患者さんは治療ののち退院されます。しかし疾患や身体状況によっては回復が難しいこともあります。

今回は、家族の思いを受け止めながらお看取りとなった患者さんについて、1年目研修医の発表です。

病状の変化とともに複数の家族の思いを受け止める難しさを実感。

入院された80代男性。

数か月前にコロナ罹患で他院に入院、その間に認知症状進行と運動機能低下で在宅困難となり施設入所されていました。今回は発熱と低酸素で入院、治療と並行してリハビリを実施し施設へ戻ることを目標としましたが、嚥下機能低下のため経口摂食は困難と判断されました。そこで胃瘻を検討しましたが検査の結果導入困難と判断され、中心静脈栄養を開始しました。一旦安定したかに思われましたが急激に酸素状態が悪化したため確認すると、以前のコロナ罹患によるダメージである気胸が明らかになりました。その後、何度も改善と悪化を繰り返す中で家族と治療方針について話しました。

同居ご家族は、以前の入院の経緯もあるので無理させず看取りたいとの方針でしたが別居ご家族からは心肺蘇生の希望があり、そちらの意向に沿うこととなりました。

しかし状態改善は難しく、酸素低下の度にご家族に来院いただきました。

そして、3度目の連絡の際に「もう呼び出さなくてもいいです」と話があり、心肺蘇生を行わず自然にお看取りする方針となり、その1週後に亡くなられました。

担当した研修医は「治療で回復を促すことだけでなく看取りも大切な医師の役割であること、コロナ禍で面会制限を余儀なくされながら家族との信頼関係を築くことの難しさを学ぶことができた。また、コロナ罹患がなければ違った人生になったのではないかと悔やまれる」と振り返りがありました。

指導医からは「病状だけでなく家族の思いも刻一刻と変化し、初期研修としてはとても重い内容だったと思うが家族と寄り添いながら頑張った」と評価がありました。

 

家族の思いを受け止めることの大切さや新型コロナの影響など、内容の濃い、多くの学びがあった心に残る患者さん発表でした。

成し遂げる喜びだけでなく、悔しい思いや無力感も、一つ一つ経験を積み重ねながら初期研修は続きます。

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