この会議は年に1回、千葉民医連の奨学生やつながりのある学生さんで集まり、テーマに沿って講演やディスカッションを通して学び、交流する企画です。今回は「市中病院の産婦人科の現場から」というテーマで学生2名の発表と保健師・医師の講演を実施、産婦人科を取り巻く問題について考えました。
この会議は年に1回、千葉民医連の奨学生やつながりのある学生さんで集まり、テーマに沿って講演やディスカッションを通して学び、交流する企画です。今回は「市中病院の産婦人科の現場から」というテーマで学生2名の発表と保健師・医師の講演を実施、産婦人科を取り巻く問題について考えました。
最初の学生発表は、『子どもに会うためにはいくら必要?』と題して、妊娠がわかってから出産してわが子の顔を見るまでに掛かる費用について調べてくれました。お産は医療保険適用外(治療ではない)なのでかなり高額となります。経済的負担が大きいことは未検診妊婦や駆け込み出産といった問題に影響することがわかりました。
2本目は『シングルマザーの現状』についての発表でした。母子世帯は子育てと就労の両立が厳しく仕事の内容も限定されるなど経済的に困難を抱えやすくなっていますが、子育て支援制度も不十分であることがわかりました。また、子どもの将来に格差が生じることも明らかにしてくれました。
その後、講演2題がありました。
助産師からは『お産だけじゃない!助産師の仕事』として、病棟業務の他、中学校と連携して性教育を行っている様子について報告がありました。性教育というと生活に必要な知識を獲得に目が向きがちですが、実は「自身を理解して自己肯定感を育む」という大切な役割があるという話に学生から『新しい発見だった!』という声があがりました。
最後に産婦人科・鎌田医師から『産婦人科からみえてくる社会』として、実際のケース2例を通して子どもを産み育てることと社会との関係性について講演がありました。問題を抱える母子の多くに共通するのは「貧困と孤立」であること、母子の健康と適切な養育環境のためには家庭や社会が機能を発揮することが必要だという話でした。
学生からは「助産師の仕事の幅広さに驚いた」「性教育と自己肯定感形成を深く学びたいと思った」「専門性を持ち寄ってチームで取り組む面白さを知った」といった声とともに、「精神的・経済的問題は社会全体で支えるシステムが必要だと感じた」「制度や窓口は教育の中で情報提供すべき」といった広い視点での感想もありました。
講演後、妊娠が判って高校を退学したケースについてディスカッションを行いました。「デメリットを考えると高校生が子どもを産むことは一概に良いと言えないのでは?」「悪くはないと思うが子育てと生活が両立できる環境があるのか?」「生まれてくる子どもの権利はどうなるのか?」「退学ではなく休学でも良いのでは?妊娠=悪ではない!」など様々な意見があがりました。
また、産婦人科は受診しづらいので、総合診療科受診後に案内してもらえるといい、個人の受診歴を守る配慮が欲しい、完全予約制や番号呼び出しでLGBTQ対応したら?…といった具体的な意見を鎌田医師と直接交わしました。
「貧困や困難など患者の背景に気付ける医師になりたい」「気軽に相談・来院してもらえる、女性の一生に寄り添えるような医師になりたい」など、自身の将来像を深めるよい機会にもなりました。
これからも、学校では教えてくれない地域医療の現場ならではの学びを様々な企画を通して提供していきます。皆さん気軽に参加してくださいね!
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