「初期研修医4名の こころに残った患者さん報告会」後編
「導入期研修を終えて、心に残った患者さん」(後編)
後編は堀坂先生、長田先生の発表です。
堀坂先生の心に残った患者さんは86歳男性のYさん。意識障害で救急外来に来ました。頭蓋内血腫で心肺停止となり、本人は以前延命を希望していませんでしたが、ご家族の「できる限りのことをして欲しい」思いから延命処置をし、入院となりました。
入院後も状態が不安定で急変も有り、気管挿管が必要となりましたがご家族と本人の思いのすれ違いがありました。
結局気管挿管となりましたが、本人もご家族も苦しみながら状況を受け入れていきました。
その間医師始め多職種でのカンファが何度も開かれ、どうYさんとご家族のサポートをしていって良いのか話し合いがなされました。
現在は自宅への退院に向けて治療をしています。
堀坂先生がこの症例を取り上げた理由に、患者さんとご家族の意思確認の困難さや多職種での力を結集して困難に対処してきたことが心に残り発表がされました。
発表の最後には「終末期に本人もご家族も悔いが残らないような形で迎えるための制度と.それを支えるような法律が必要では無いか」と制度にまで目を向けた発表となりました。
続いて長田先生の発表です。
長田先生は75歳の女性のOさん。誤嚥性肺炎で入院するも、認知症が進んでおり入院後はADLが低下してしまった方です。
さらに既往であるうっ血性心不全も重度で有り、嚥下も困難な状況となっていました。
これまで娘さんが献身的にOさんを介護しており、退院後は状況から在宅で過ごし看取ることも視野に入れた方向となりました。
在宅に変えるためには様々なスタッフの力が必要になります。病院の医師・看護師・SWだけでなく、訪問看護師・ケアマネージャー、娘さんも参加しての合同カンファレンスが進められました。
その後Oさんの体調も変化が有り、一時期は病院で最期を迎えることも考えられましたが、現在は自宅退院を目指しています。
長田先生がこちらの症例で学んだこととして家族と話し合うことの大切さ、患者さんが意思表示が出来ない際に苦しみの少ない方針を立てること、多職種との話し合いが出されていました。
特にカルテに「自宅でお看取りの方針」と書くのは簡単だが、その一言を実現するためにいかにたくさんのスタッフが関わっているかを合同カンファレンスで実感できたと言う言葉が印象に残りました。
堀坂先生も長田先生も「延命」や患者さん本人とご家族の意思確認の困難さなど、共通する課題もありました。どれも患者さんに向きあうことで出てくる課題だと思います。
これからもその姿勢を持ちつつ、次の科での活躍を期待しています。
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