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船橋二和病院 医学生 高校生・受験生

高校生と医学生、医師、相談員が「多職種カンファレンス」チームで問題にあたること、患者さんの願いを第一にすることが重要だと気付きました!

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高校生と医学生と初期研修医、医療相談員がチームを組んでカンファレンスを行いました。

医師体験などの千葉民医連高校生企画に参加してくれた高校生や受験生からは「普段、医師はどんなふうに考えて診断や治療方針を決めているのですか?」「自分が医師になったら困難な症例にひとりで立ち向かえるのかが不安です。」「カンファレンスってどんな形で行われているのですか?」などの疑問や不安が寄せられます。

高校生と医学生と初期研修医、医療相談員がチームを組んでカンファレンスを行いました。

まずは地域の患者さんから「医師や医療機関に求める事」を聞きました

患者さんや地域の人が医師や医療機関にどんな思いを抱いているのか、地域の健康友の会の岡本さんのお話です。「いつでも元気」の9月号の記事を説明しがら「治療が終わっても、患者さんをこのまま家や施設にに帰してしまって良いのだろうか?という疑問を持って病気だけでなく社会制度も治せる医師になってほしい」というメッセージと
「患者に寄り添うということは、その人の人生を最後まで背負うことであり、患者さんファーストの医師になって下さい」と熱弁

まずは地域の患者さんから「医師や医療機関に求める事」を聞きました

高校生からは「病人が患者になれないという問題を初めて知った」「医師は患者の人生を背負うという言葉が胸に刺さりました」など感想がありました。

実際にカンファレンスをやってみよう!

2年目研修医の上田先生が実際に携わった症例です。出かけた先で意識を失いとなり救急搬送されてきました。認知機能の低下もあり、既往症や通院歴・内服している薬の有無も分かりませんでしたが、意識消失は心原性のものであり、心疾患については経過観察。脳梗塞と肺炎がありましたが2週間ほどの入院加療で改善しました。

 

実際にカンファレンスをやってみよう!

ところが、すんなりとは退院できません。

ご本人は認知機能の低下がみられ、既往症や通院歴・内服薬も不明。搬送時に本人の言った名前が違う名前だったこと、聞く度に住所が若干違い自宅が分からない、「安心登録カード」にある身内の電話番号はつながらない、保険証も持っておらず身元が分からない…

 

 

高校生が作り上げたプロブレムリスト

こんな状況に、高校生たちが挙げてくれた問題点は
・内服薬や既往症が分からないこと
・再度倒れてしまったら、どうしたら良いのか?

・身内の人と連絡が取れない

・預貯金が分からないので生活保護などの制度が使用できない

・そもそも話が性格なのか疑問?

などなど

高校生が作り上げたプロブレムリスト

問題点に対するアセスメント

問題点に対して、皆でアセスメントを考えました。
「内服薬や既往症が分からないのであれば、改めて検査を行ったらどうか」「とにかく、身元や身内が分からないことが問題であり、本人が言っている住所の近所で聞いて歩いたらどうか?」

など、とにかく自宅に行ってみよう!ということになりました。

問題点に対するアセスメント

実際の症例でも、地域包括ケアセンターから身内の人が分かり医師・相談員・ご兄弟でご自宅を訪問し、預金通帳を見つけ、患者さんご本人の人となりなどもよくわかったことから、患者さんの背景を知ることと、職種間や施設間での重要性を感じたこと、病院での印象と全く違う患者さんの側面がわかり治療の上でも重要な情報を得られたとのお話でした。

 

カンファレンスの最後は、「この患者さんが退院できるために必要な支援を考えてplanを充実させようというもの。

退院に向けた支援を考える

「退院後の通院先を確保し、身元などしっかりとした情報共有を行う」「本人が何処に退院したいのかなど意向を確認して、病院でリハビリを継続しつつ、どこに退院するのかを患者と医療者が相談する。」「現時点で何ができるのか、どこまでよくなるのかを明確にする」など、参加した職員も驚くような方針が決まりました。

医療保険制度や社会保障制度、それぞれの施設の特徴、成年後見人制度など相談員の今福さんから分かりやすく説明と補足がありました。

退院に向けた支援を考える

高校生の感想文からは
「患者さんの意向や退院後どう生活できるのかを考えなければならない」

「すべての患者さんが自宅に帰ることが一番いいことでは無いと分かった」
「どのような医師が望まれているのかが分かり、自分のなりたい医師の理想像が見えた。」
「カンファレンスは、問題提起をして解決のために何が必要なのかを筋道を立てて理論的に考えなければいけないと知ることができた、チーム医療と患者さんを第一に考えることが重要だと感じた。」
「医師の優しさとは命を背負って寄り添うこと、という言葉が響きました。カンファレンスによって一人の患者さんをこんなにも深く考えているのだと知った」

など、地域医療やチーム医療、患者さんの願いについて考えるきっかけになったのではないでしょうか。

カンファレンスの後は、ピザなどの軽食を食べながらの交流会。参加した医学生への国際医療福祉大の授業や普段の生活についての質問から始まり、それぞれが医師を目指したきっかけについてなど交流しました。

医師のやりがいについても質問があり、上田先生からは「治療が上手くいった人が笑顔で退院されるケースもあるが、看取りの患者さんなど助けられないことも多く正直大変な仕事です」「でも医師にしか出来ない仕事も多く、今はとにかく頑張って医師の仕事を続けていきたいと思っています。」との答えがありました。

 交流会も盛り上がり予定時間をオーバーして終了となりました。

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