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船橋二和病院 初期研修 医学生 内科

本日の研修医「(内科導入期⑤ 初期研修医の心に残った患者さん発表会」

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船橋二和病院では、各診療科研修のローテション終了時に、それぞれの研修医が「心にのこった患者症例報告会(通称ここのこ)」を行っています。

70代男性、心窩部痛、呼吸苦で来院され入院となった患者さんの症例を報告しました。

既往歴として胃潰瘍、2型糖尿病があり、元々別の病院にて治療を行っておりました。二和病院で検査など行い糖尿病の治療と、血液検査の所見で1型糖尿病と診断となり、それまでは2型糖尿病の治療をしていたので、あらためて1型糖尿病の治療へ変更となりました。

 

患者さんの希望は、「早く退院したい」でしたが、よくよく話を聞くと、やっと口を聞いてくれそれは独居で生活保護費、家賃、光熱費の心配があるからでした。

 

介護保険の申請にも消極的で私やソーシャルワーカーから何度も説明しましたが、なかなか患者さんの了解がえられませんでした。

 

指導医から患者さんに「お金のことは心配しなくて大丈夫。うちの病院はお金のことも相談にのれるからね」の優しい言葉に研修医も泣きそうになってしまいました。

 

治療、リハビリの甲斐もあり介護保険の申請もでき、光熱費や家賃の支払いもソーシャルワーカーと相談でき見通しがつきました。無事に退院となりましたが、医療のゴールは病気が治ることではなく、退院することでもなく生活なのだと、そして「お金の心配はしなくていいよ」といえる病院は本当に「いいな」と振り返りがありました。

 

また、SDH(Social Determinants of Health)(健康の社会的決定要因)の説明を丁寧に解説し、今後に活かしていくこととして、患者さんの生活背景を診る視点を忘れないこと、患者さんが本当にハッピーになるには? 本当にこのまま自宅に戻ることになっていいのか? 何かできないことはないかと考え続けることは大事などがあげられました。

 

国に働きかけていくことも必要

最後に憲法25条第2項に国は、すべての生活部面について社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない、とあります。「これは、私たちの〝健康で文化的な最低限度の生活〟を守るために国に対して要求していくべきで、私たちの自己責任ではないんだというメッセージも含まれていると私は考えます。だから私は25条が好きなんです」と熱い思いが語られました。

 

実際4カ月働いて、まだまだ日本は社会資源やサービスが不十分だと思うので、国に働きかけていくことも必要だと報告を締めくくりました。

国に働きかけていくことも必要

指導医からは「わからなくても患者さんと向き合う姿勢があり、頑張ったからこそ最後まで診ることができた症例だと思っています」「これから自分の力で解決していく力は身に着けていく能力は必要だと思いますが、ちゃんと患者さんを診る、診てほしい。治すことで終わりではなくて、その後どうするかきちんと考えてほしい」など、激励の言葉をいただきました。

 

4カ月の内科研修お疲れ様でした!

次は精神科です。頑張ってください!

 

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