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船橋二和病院 初期研修 医学生

医学生向け「初期研修医、症例カンファレンス」開催

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「医学的にのみ判断して、再度この患者さんを同じ環境に戻してしまったら、どうなると思いますか?」

医学生を対象にon-lineでのカンファレンスを開催しました。今回は、初期研修1年目の小黒医師が実際に受け持った症例をもとに、診断・鑑別から心理・社会的原因まで、その原因や解決方法などをディスカッションしました。

「医学的にのみ判断して、再度この患者さんを同じ環境に戻してしまったら、どうなると思いますか?」

独居の男性で呼吸苦や悪寒を主訴に来院されました。当初、心疾患の増悪を疑っていましたが治療の経過で、呼吸苦は改善。精神的な苦痛による呼吸苦が原因であったようです。

症状が改善し、退院に向けた取り組みが始まりました。

入院のきっかけとしては、自殺を考え雨の中長時間歩いて駅についたものの、悪寒と呼吸苦で動けなくなり救急搬送となりました。入院までは、路上生活をしており、退院に向けて経済面や住居の問題など多くの課題がありましたが、医療相談員(MSW)を中心としたカンファレンスを続け、様々な社会制度を利用しながら、家を探し、何とか退院となりました。

参加した医学生からは医療者に出来ることとして

「自殺を考えること自体が大変な状況で、孤立した状況に対応するため社会的な繋がりや制度利用を行い、関係性を切らさない事が大切」「金銭的に困っている理由を明確にして、具体的なサポートを考えることが大事」「住居の問題など、生活していく上で必要不可欠な問題が多く、退院後の通院や生活についても想像して対応することが大切」などの意見が出されました。

小黒医師からはBPSモデル(生物学的:Bio・心理的:Psycho・社会的:Social)に触れ「治療の経過で、心理社会的な問題のウエートが大きくなることも多い。」そのため「医師は身体だけを診るのではなく、心理的、社会的な側面からもその人を分析して、これ以上病気が悪くならないような、そもそも病気にさせないような基盤を作る手助けをする職業ともいえる。」とのお話がありました。

また、「医学的にのみ判断して、再度この患者さんを同じ環境に戻してしまったら、どうなると思いますか?」との問題提起がありました。

今後もこの様なカンファレンスを続け行きたいと思います。ブログやホームページでも傷害いたしますので、興味の有る方は是非、ご参加ください!

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